予防歯科ってなに?

むし歯や歯周病から歯を守るために
「ノードリル(削らない)」のイラスト
待合室に掲示した「ノードリル(削らない)」のイラスト。予防歯科の第一人者であるスウェーデン・マルメ大学のダン エリクソン教授の作品です。

欧米と日本の歯科医療の違い

欧米諸国では、むし歯や歯周病の「原因」を取り除き、その後に必要な修復治療を行うという治療順序が重視されています。一方、日本の歯科医療は「むし歯ができたら削る」といった対症療法が中心でした。そのため、治療を終えても病気の原因が解消されず、再発を繰り返すケースが少なくありません。

スウェーデンがリードする予防歯科

スウェーデンは歯を健康に守るための研究と実践をリードしてきました。「いちばん歯が健康に残る国」です。蓄積された知見は、現代歯科医療の枠組みとなり、歯科治療そのものに予防の概念が組み込まれました。本来は「予防歯科」という特殊な分野ではありませんが、日本では修復中心の従来型治療と区別するために多用されています。

近年では、山形県の日吉歯科診療所をはじめとし、予防歯科の普及に取り組む歯科医院が増えました。しかし、全体として予防の知識や意識が十分に根付いておらず、スウェーデンと比べると成果に約30年の遅れがあるとされています。

なぜ予防歯科が重要なのか?

欧米では、歯科医院は健康な歯を守るための場所として機能しています。多くの人が定期的にメインテナンスに通い、むし歯や歯周病を未然に防ぐことで、一生自分の歯で食事ができる環境を整えています。

一方、日本ではまだ「歯が痛くなったら歯医者に行く」という考えが根強く、むし歯の原因にアプローチする予防歯科は特別なものとして扱われることが多いのが現状です。病気の再発と再治療を繰り返しながら、いずれ歯を失う。このような状態から脱却するためには、病気を未然に防ぐことや、軽症の段階で進行を抑制していくことが大切です。

予防歯科の課題と誤解

予防歯科の普及が進む中で、いくつかの課題が明らかになっています。

■クリーニングと予防の混同

定期的に歯石を除去することは大切ですが、それだけでは病気を予防する効果は非常に限定的です。むし歯や歯周病は「生活習慣病」に分類されますから、専門家による一方向の治療で改善させることはできません。病気への知識、ご自身の進行状態やリスクをお伝えし、お互いに何を行うべきか、科学に沿った手段を提供する必要があります。

■根拠のない手段の浸透

歯科医院でむし歯にも歯周病にも効果があると勧められた洗口液や、むし歯予防のために摂取するタブレット。多方面で科学的に裏づけがとれない手段が推奨されています。皆さんが欲しいのは「歯科医師の勘」をもとにした情報ではなく、信頼性の高い情報でしょう。

■当院の予防歯科の取り組み

歯石の除去を目的に定期通院しているという声が増えました。「歯石って何?」「なぜ付着する?」「どんな悪さをする?」「どこにどれくらい付いていた?」「きちんと取れた?」このような課題はクリアになっていますか? 「歯石は3ヶ月に一度除去しましょう。」と勧められ、受け身で通院されてはいませんか?

当院では、科学的根拠に基づいた予防歯科を実践し、患者さま一人ひとりに合った最適な予防プランを提供しています。定期通院の中でたくさんの気づきと変化を提供します。

  • どの歯が健康? どの歯でどの程度病気が進行している?
  • むし歯や歯周病とは? ご自身のなりやすさとは?
  • 生活習慣病への対策。予防のために専門家が行うことと、ご自宅で行うべきこと。
  • 病気の進行に応じ、もっとも効果的な手段と補助的な手段。
  • 病気の進行に応じ、最適な手段を用いた際の改善の期待値。
  • セルフケアや病気の状態に応じた通院間隔。

オーダーメイドの予防プログラムで生涯にわたって健康な歯を守るサポートを行います。

最後に

「治療のために通う歯科」から「健康を守るために通う歯科」への意識改革を。当院では、患者さんが一生、自分の歯で食事を楽しめるように、科学的根拠に基づいた最適な予防医療を提供しています。お気軽にご相談ください。